1981年7月 夜の板谷越え体験記

かつて存在した4駅連続スイッチバック区間の乗車体験で一番印象深かったのは、夜の普通列車(旧型客車)に乗った時だった。
その日は友人と夕方坂町から米坂線に乗り米沢に向かっていた。この列車、途中の今泉では30分ほど停車するが特に食べ物屋が見当たらず(駅前に偵察に行った友人情報だと食堂があったらしいが時間切れで行けず仕舞い)、空腹状態で20:47に米沢着。
この後は3分接続で福島に向かう予定。米沢のような大きな駅ならば立ち食いそばか駅弁にありつけるかと期待したものの時間的にアウトで、空腹のまま力なく福島行き列車に乗りこんだ。
福島行きは旧型客車を数両連ねた編成で、最後尾は吹き抜けのデッキだったのでこの車両に乗り込んだ。空腹とはいうもののこの先のスイッチバック駅を堪能するためには最後尾が好位置なのでこの車両に乗り込んだ次第。車番は失念したが、乗りたいと思っていたオハフ61ではなかったことは確か。
列車は次の関根を発車すると単線から複線区間になった。そろそろ隣駅の大沢に近づいたので、デッキに出ると列車はスノーシェッドに進入すると本線から左に分岐してスイッチバックの引上げ線に停車。少し間があってゆっくりと後退をはじめ、うねうねと本線を横切ると大沢駅のホームに進入した。再び前進して本線に戻り列車は峠駅に向けて走り出した。
この時印象的だったのは、停車直前に室内灯に照らされてブレーキダストの物凄い舞い上がりの様子。夏だったので一日中非冷房車に乗っていると何となく顔がざらざらする感じになるのはこのためかと合点がいった。もう1つは、山深くなるにつれて車窓は真っ暗になるのだが、後方の山の情報がぼわーっと明るく見えたこと。周囲が真っ暗なために米沢の町灯りが山の輪郭を照らすのが見えたらしい。それから、外灯に群がるおびただしい蛾の大群にも驚かされた。
暫く走って、再びスノーシェッドに入ると左に分岐して引上げ線に停車、ゆっくりと後退してホームに進入して峠到着。乗降客は居るのかいないのか?最後部からではうかがい知れないまま、列車は再び動き出す。峠からは下り勾配区間となり心なしか列車は軽やかに走る感じがした。
次の板谷駅では、スノーシェッド内で左に分岐するとホームに進入、客扱い後に引上げ線に後退し、進行方向を変えると本線に合流。最後尾のデッキはこの複雑な線路の様子を見るには絶好のポイントで友人と空腹を忘れて見入っていた。
4駅目のスイッチバックは赤岩駅、ここはポイント部分にスノーシェッドがないため、今までとは違う印象。この駅もまずは左に分岐してホームに進入、後退して本線を横切り引上げ線で向きを変えると本線に合流して次の庭坂駅に向かう。
流石にスイッチバック区間が終わると空腹であることを思い出し、景色も見ずに座席でひたすら到着を待ちわびた。本来であれば眼下に福島の夜景が見えたはずであるが、空腹に支配されてみる余裕なし。そして、22:10に福島到着。この後は、急行「八甲田」で青森方面に向かうため1時間ほどの小休止となる。東北ワイド周遊券で旅行中の高校生はそこに夜行列車が来る限りは先に進むのである。
幸い 福島駅前にラーメン屋を見つけることができて空腹を解消することができた。たしか普通のラーメンなのだが忘れられない味となった。
もともと、接続の都合で選んだ列車であるが、旧型客車で夜汽車の雰囲気が味わえて、スイッチバック体験ができる好条件がそろったのは偶然で、これほどの趣深い乗車体験はスイッチバックが廃止されたためにこれきりとなってしまった。

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季節も時間帯も異なるが赤岩駅構内の様子(ホーム進入中の列車から。奥に伸びる線路が引上げ線)
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コメント

板谷峠

こんにちは。
https://www.youtube.com/watch?v=0H4EN-anghE
1990年のスカイラインビデオ↑です。 懐かしい。

No title

ふみきりマンさん、こんばんは。
VTR拝見しました。同じくらいに車で撮影に行った事があって懐かしかったです。別の機会には、乗り鉄もして2両の客車だと機関車のパワーが有り余ってとんでもない加速をした記憶もあります。

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